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コラム

【マーケティングせつないとき】時間が有限であることを意識したとき(2005.09.07)

「人生は時間でできている。」、「Time is money.」などとあらためて格言を取り上げるまでもなく、時間の大切さは強調してもし過ぎることはない。
あまり年寄りじみたことを言いたくはないのだが、四十を過ぎると既に人生折り返し地点に来ていて、人生の終点から考えなければならないのではと感じることもある。そう考えると余計に時間というものに対して神経質になってしまう。
しかし、そう言いながらもダラダラと過ごしてしまいがちなのが人間の弱さだ。
時間の認識として、ビジネス面においては、ITの進展が「スピードこそ命」という価値観を推し進めた。
一方その反作用か、個人のライフスタイルにおいては、「スロー」「アナログ」などのキーワードが台頭している。
そして本屋には手帳の使い方、時間管理術など「時間」をテーマにしたものが平積みされているが、特に最近では仕事とプライベートを一体として時間を論じたものが多いように感じる。
マーケティングにおいても、「時間」との兼ね合いはだいぶ以前から語られてきた。少し古い本になるが、「時間のマーケティング(中央経済社)」などによると、時を縮める、時を創る、時を重複させる云々と7つのマーケティングコンセプトを挙げているが、そこまで分類してもあまり生産的ではないと思う。
単純に言ってしまうと、時間に関するテーマは、
1.無駄な時間を省いて時間をつくること
2.時間を有効に(豊かに、楽しく)使うこと
という二つであると思う。
これをマーケティングと関連づけて考えてみると、凡その製品やサービスがこのどちらかに効いていることがわかる。
「無駄な時間を省く」という面においては、新幹線や飛行機での高速移動手段は典型的だ。移動にかかる「無駄な時間」をいかにミニマイズし、本来使うべき時間をつくるかということにお金を払う。ネットショップも、店に出かけるという時間を省けるということに価値の一つがある。
一方「豊かな時間を過ごす」という面においては、映画や音楽、旅等は典型だが、それ以外にもいろいろある。例えば、ブランドバッグを購入する理由は、「重いモノを入れるから丈夫なものを」ということはほとんどなく、それを手にすることで満足した気持ちのいい時間を過ごしたいということであるはずだ。化粧やエステなどは、「若い」状態(肌、気持ち)でいられる豊かな時間を少しでも長く保持しておきたいという説明がつくであろう。
ただ、これらの理屈は人や場面によって一様には当てはまらない。
例えば、ゆっくりと旅を楽しみたい人(場面)にとっては、「速いから高い」という新幹線は受け入れられない。移動時間というプロセスが楽しいわけだから、それは省くべき無駄な時間ではない。また、ウィンドウショッピングそのものが好きな人にはネットショップには物足りなさを感じるであろう。ブランドバッグを持っている時間に特段の価値を感じない人もいる。
このような時間に対する価値観の違いは、そのまま「豊かさ」に関する価値観の違いと言える。
しかし、価値観が異なっても、時間を大切にしたいという気持ちは万人共有のはずだ。
マーケターとしては、自分の製品やサービスが、「どんな価値観の人の時間に」、「どう効いているか」について考えてみる価値がある。換言すると、時間に対するソリューションを何ら与えていない製品やサービスは、豊かさの提供ができていないということになる。
「時間によく効く。」なかなか難しいが、買い手からも売り手からも、本質的なテーマであるとつくづく思うこの頃である。(鈴木一)

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】98号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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