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百貨店系の某書店で、ある本を探そうと店頭のタッチパネル端末をたたいてみた。ご存知の通り、非常に使いにくくレスポンスも悪い。ようやく調べがついたので、当該ジャンルのコーナーの棚を探すが見当たらない。
そこで、レジのスタッフに尋ねたのだが、彼女はまた同じ端末を使って検索し、その棚を探している。(おい。そこまではさっき自分でやったんだけど・・・)見当たらないので、別のフロアにレジ脇の電話で問い合わせている。きっと向こうも接客中なのだろう。ずっと受話器を持って固まったまま。こちら、いらつくし彼女も私への対応で時間をとられるからレジには人がたまる。お店の経営の立場からしても実に無駄だ。結局合計5分ほど待たされようやく見つかったらしい。
私としては、それがどんな本なのか自分で確めたかったのだが、既に他フロアのレジに取り置きしたという。こちらの要望が無視され「お買い上げ」にされてしまった。
最近、アマゾン・ドット・コムをよく使う。
本はどこで買っても均質な、記号化しやすい商品なので、最もネットで購入しやすい商品の一つだ。
都市部には書店がいくらでもあるので、最初は使う必要がなんてないと思っていたのだが、そうでもない。
アマゾンは企業コンセプトとする顧客中心主義とそれに根ざしたサイト設計により、豊富な品揃え、選びやすさ、商品情報の豊かさのすべてを提供している。その信頼度は、先日、日経MJ「通販ブランド求心力調査」で総合トップになったことにも表れている。
特にアマゾンの大きな特色である「おすすめ度」や「カスタマーレビュー」は秀逸で、私も購入する時は必ず目を通す。その本を読んだ人の感想や評価を知れるのは、立ち読みで目次だけを見るよりも参考になる。
また、アマゾンの行うCRMは、馴れ馴れしくレコメンドしてくるような鬱陶しさはなく、あくまでも私自身が何を買ったか、またはその商品に興味を持ったかという情報の提供にとどめており、その距離のおき方に心地よいハイタッチさを感じる。あわせて、1500円以上購入で送料無料、ポイント還元等価格的にもメリットがある。
リアルの小売業であれば往々にして相反してしまう「利便性」と「きめ細かいサービス」が、アマゾンでは見事に両立されている。
そうなると、リアル店舗としての本屋の意味はなんだろうか?
ネットを使えない人のためのものか?それとも、雑誌等のすぐ出てすぐ買う一部の商品のためか?
いやそれだけではないはずだ。
本屋の醍醐味は、自分の枠組みを越えた思いがけない本との出会いだ。本屋に行くと刺激と想像力がハイパーテキスト的に飛び火し、心と脳が活性化する。そんな素敵な体験の場がリアルの書店であり、それにより、思わぬ一冊と巡りあえたりする。
ネットでの買い物のメリットの一つに、売り場の編集権が顧客の手に移るという点がある。サイトのパーソナライズは確かに便利だが、それはあくまで自分の趣味嗜好の延長線上であるので「思いがけない出会い」は起こりくい。
それに対して、リアルの店舗では、その時期の特集や関連本の配置、店員によるお薦めコメントなど「売場主導の編集」により、ネットとは一線を画した価値を提供しているのだ。
では、スタッフは何のためにいるのか?
もちろん、上記の編集を担うのが店長及びスタッフの重要な役割であろう。その他業務としては、レジ、商品管理、売場管理等が挙げられる。それぞれ大事だが、やはり顧客との接点「接客」をきちんとして欲しい。本の場合は、「先日買われた本いかがでしたか?今回はその本よりこっちがいいですよ。」なんていう接客はまずないし、客も求めていない。だから、せめて客からの問い合わせには適切に対応しなければいけない。すべてが本の専門家であればベストだが、そこまで贅沢は言わない。最低限、特定の本の置き場くらいは迅速に案内して欲しい。
何のために売場があるのか?何のために人がいるのか?
ネットショップの強みと満足度は、リアル店舗の顧客不満足度の裏返しでもある。人が介在されることでかえって顧客不満足を増すようなことになると、客がどんどん逃げてしまうというものだ。(鈴木一)
*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】97号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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