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コラム

【マーケティングせつないとき】サービスの質が天災のパニックに輪をかけるとき(2005.07.27)

23日夕刻関東地方を襲った強い地震。立体駐車場から車が落下、エレベーターに多くの人が閉じ込められ、山手・京浜東北などのJR主要路線や東京メトロの一部路線も3〜4時間にわたって止まり、携帯電話も通じにくい・・・都市機能のもろさを痛感した。
私はオフィスからまさに出ようとしていたところだったが、当社の事務所が入っているビルはどうやら「激震構造」のようで、揺れの激しさは経験したことのないものだった。危うく倒れそうな本棚を手で支えたが、それでも多くの本やCDが床に落ちた。
窓を開けると、近くの工事現場では人が鉄骨にしがみついていて、落ちてしまうのではとマジでドキドキした。
その後帰路についたが、地下鉄は運転見合わせたのため淡路町駅で足止め。予想していたことなので、そのうち動くだろうとしばらく待つことにした。
しかし30分ほど経っても特に動きはない。改札の外には徐々に人だかりが大きくなっていく。
運転見合わせの案内は、改札の前に置いたホワイトボードに小さな字で書いているだけなので、後ろの方の人には見えない。駅員は聞かれると一問一答式で答えるが、積極的に状況説明しようとする姿勢はまるで見られない。
また放送も繰り返し流れるが、設置されたスピーカーが改札の内側、つまりホーム側に向けられているので、外で待たされている私たちにはよく聞こえない。ハンドマイクで状況を知らせるくらいのことはしてもよさそうなものだ。
いずれも「動いていない。再開の目処は立っていない。」と伝えるだけで、それ以上の詳しい状況説明はない。後の報道でわかったのだが、その間、限られた数の検査作業員が、徒歩で線路など全線の施設を目で安全確認していたとのことだ。それならば、いつ動くとは言えなくても、「少なくともあとどれくらいは動かない」という予想くらいはつきそうなものだが、なぜそれを説明できないのか?
気の毒に、疲れきったお年寄りは、地べたに座り込んでしまっている。
日ごろ「シルバーシートを譲りなさい」と車内放送している割りには、こういう場面で全く配慮がない。空いているホームのベンチや、停車している車両の空席に優先的に座ってもらうように促したり、シートを提供したりするくらいはできるはずだろうが。
さらには、地上の地下鉄入り口からでは運行状況が全くわからないのは問題だ。わからないから人々は次々に地下に降りて行き、あきらめた人がまた上がってくる。だから狭い通路は余計に狭くなる。地上にある地下鉄入り口に、非常時のランプやモニター、せめて手書きの告知版を出すなどのことができないのか。
トイレの小便器の前に臭くてつまらん広告モニター(しかも広告なし)を設置する金があるんだったら、もう少し別のところに金を使って欲しい。
天災で電車が止まること、それにより人間が安全点検すること、それを否定しているわけではない。ただ、そういう状況において、コミュニケーション面での対応がよくないことで、乗客の苛立ちや怒り、疲れ、時間のロスを助長するとすれば、それは人災と言っても過言ではない。今回は土曜日の夕方だったからまだマシだが、平日のラッシュ時だったらと考えるとゾッとする。
「地下鉄の父」と称される早川徳次の尽力により、10銭均一で上野〜浅草間2.2kmの地下鉄営業が開始したのは、昭和2年。戦後の高度経済成長以降、東京の地下鉄は急ピッチで整備され、現在に至っている。その間、社会はハードからソフトの時代へと変化した。
そんな時代の流れの中、営団地下鉄は、平成16年4月1日東京メトロとなり、単なるインフラを越える企業として生まれ変わったはずではなかったのか。
「東京スピード」、「東京ポジティブ」。山田優のおかげでイメージはアップしたが、サービス企業としての実態はまだまだこれからだ。(鈴木一)

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】93号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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