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コラム

【マーケティングせつないとき】出し惜しみするセールスプロモーションを見たとき(2005.07.13)

先日スタバ某店でレジに並んでいると、前の人が夏の期間限定キャンペーンのスタンプカードがいっぱいになったらしく、「新しいのをもらえますか?」と聞いていた。すると、レジのお兄さんは「もうカードがなくなりましたので終了とさせていただきました。」との答え。キャンペーンは7月末までのはずなのでまだだいぶ期間がある。きっと「そろそろ新たな配布をやめてください」とでも本部からお達しがあったのだろう。
また別の洋食店では、スタンプ10個で食事券プレゼントというサービスを行なっているが、店内にはそのスタンプカードを告知する案内もなく、スタッフも「スタンプカードはお持ちですか」を声をかけることもしない。ただレジのところにカード置いてあり、「これいいんですか?」と聞くと、ようやく渡してくれる。
きっと「あまり積極的に配らないように」と言われているのであろう。
でも、これってどうよ?
スタンプカードは、マーケティングの4P〔Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotiom(プロモーション)〕でいうところの「プロモーション」の手段の一つだ。「プロモーション」とは、企業が消費者から「良い理解」を得るために行うコミュニケーション活動だが、より平たく言うと、お客様に、
「知ってもらう」→「来店してもらう」→「買ってもらう」→「再来店してもらう」
という「〜してもらう」のプロセスに「できるだけ多く」を加える工夫だと言える。
これらのプロセスで、いかに客数の目減りを防ぎながら、たくさん購入してもらうかが命題だ。
さらにプロモーションの中身も以下に分類される。
・広告(有料の媒体を使って、自社のメッセージを人によらない手段で伝 える活動)
・セールスプロモーション(消費者の購買意欲を、また川下のチャネルの 販売意欲を直接的に高めるための活動)
・人的販売(販売員を通じた活動)
・パブリシティ(メディアに対して企業や製品の情報を自社に有利な形で 取り上げてもらうようにする広報活動)
・口コミ(消費者同士のつながり上での伝達を目的とした情報提供やコミュ ニケーション活動)
スタンプカードは、このうちセールスプロモーションの手段の一つで、消費者にメリットを提供するタイプのものだ。
4Pがすべての要素を上手に組み合わせることが重要なのと同様に、プロモーションも各手段の特性を生かし、効率的かつ効果的に組み合わせる「プロモーションミックス」が重要になる。
そう考えると、前述のスタンプカードのケースは、本来キャンペーンやサービスを自店の魅力として広くアピールし、新規客を引きつける努力を組み合わせて行うべきであろう。
もし「いやそうではない。スタンプカードの対象者は来店客だ。」というのであれば、来者をリピーターや固定客に育てるためのセールスプロモーションなのだから、せめて来店客には積極的にアピールしなければいけない。
顧客に対して「大事にしてますよ」という姿勢を伝え、次の来店に向けて気持ちよく帰ってもらうことが不可欠だ。固定客は十分な満足を与えないと、毎年2割減っていくとも言われている。
現に行っているプロモーションを店側の都合で出し惜しみしたり、ケチったりする姿勢を見せては、客は「スタンプが欲しい」ということ以前に、お店の姿勢を疑ってしまう。再来店どころか二度と来たくなくなってしまうこともあるだろう。
中途半端はよくない。やるならやる、それも気持ちよくやらないと販促経費以上に客が減っていく。(鈴木一)

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】91号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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