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「COOL BIZ(クールビズ)」。知っているだろうか?そして実践しているだろうか?京都議定書による地球温暖化防止につなげようと、環境省など政府が提唱しスタートした、ビジネスマン向け夏の軽装運動の名称だ。
「クールビズ」の基本はノーネクタイとノー上着。イメージは「涼しく格好良く」。愛知万博では、奥田碩氏や星野仙一氏らがモデルとなり、ファッションショーも開催され、コシノヒロコ氏や菊池武夫氏らの作品が披露されるなど、この「格好良く」や「センス」が強調されている。
というのも、オイルショックの1979年、大平首相自らモデルとなって半袖背広にネクタイという珍妙な「省エネルック」をPRしたが、デザインもモデルも「変化球」過ぎて、敬遠されたまま市場から消えたという「寒い過去」がある。その二の舞だけは避け、今度こそ定着させたいという思いがにじんでいる。
ホリエモンもこの時期に出てきてくれたら、クールビズに便乗して服装からくるマイナスイメージをおさえることができたのだろうが。残念!
ところで、クールビズの経済効果は、地方公務員や民間企業にまで浸透しシャツや靴などを新調すれば、約6000億円という大胆な試算も発表されている。既に『小泉総理も愛用の沖縄の軽装「かりゆしウエア」』などとすばしこく謳うネットショップも出てきた。しかし一方クールビズ売場を開設している三越日本橋本店をのぞいたところ、過去の省エネルックのトラウマからか、はたまたスーツやネクタイの売上低下を懸念してか、今ひとつ提案が中途半端だった。
私自身、高温多湿の日本で、欧米と同じ服装をただ受け入れなければいけないのは極めて非合理的だと思っている。じっとりとした猛暑の中、我慢してネクタイを締め汗だくになっている姿は、周囲からみても気持ちのいいものではないし、本人の生産性も上がらないのだから何もいいことはない。しかし私に限らず、そう感じている人が大部分のはずなのに殻を破れないのは、「出る杭は打たれる」式の日本の体質であり、没個性・無難をよしとする風土の呪縛からだ。「京都議定書に基づき」、「小泉さんも言ってるから」等、ネクタイを外す言い訳けはできたが、それだけでは古い価値観を跳ね返し定着までは至らないだろう。前回の「省エネルックの上級版」としてまた消えてしまうのは時間の問題だ。
こんなときこそ、ご指導を仰ぎたかった人がいる。
先日亡くなられたばばかりの石津謙介氏。60年代に一世を風靡した「VAN」ブランドの創始者で、アイビールック流行の仕掛け人だ。サラリーマンに脱スーツを勧める「カジュアルフライデー」を提唱したこともあった。
石津氏は、男のファッションやコーディネートに、ルールやセオリーがあることを伝え続けた。また「時・場所・場合を踏まえて」という意味でよく用いられる「T.P.O(Time、Place、Occasion)」という言葉を定着させたのも同氏だ。
そして、石津氏の有名な言葉「私は消えていく流行はつくらない。定着する風俗をつくる」。これこそが、クールビズを定着させるに必要なコンセプトだと思う。
そもそもビジネスマンに願望はあっても、「どんな格好すればいいの?」では定着するはずはない。この機会にメーカーや小売など関連業界は、政府のキャンペーンにまかせるのではなく、一丸となって男性のファッションのセオリーや具体的テクニックについて、徹底的にビジネスマンへの教育啓蒙を行なっていくことが必要だ。一部のスノッブなファッション誌だけでは駄目だ。そうすれば、教育される側のビジネスマンも、ライフスタイルを豊かにする有意義な学習を喜んで受け入れ、ファッションに開眼するに違いない。そして新たな市場が生まれることになる。
今回の株主総会では多くの主要企業のトップが交代し、これまでの悪しき価値観を捨てるチャンスだ。「ノーネクタイ=失礼」という既成概念を打破し、別にクールビズという言葉にくるまれるのではなく、一歩抜け出して、新しく格好の良い日本のビジネススタイルを確立したいものだ。(鈴木一)
*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】86号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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