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コラム

【マーケティングせつないとき】コンビニの棚のように店が入れ替わってしまうとき(2005.05.18)

雑誌や新聞で「これから流行りそうな店」的な記事を切り取って、時間があるときに出かけてみる。すると、ついこの間紹介されていた店なのに既になくなっている。先日は飲食店、雑貨店がそうであった。
それにしても店の入れ替わりが激しい。
その理由として、店舗運営の企業化・チェーン化が進む一方、個人商店が存続できなくなってきていることがある。
一つの企業がいくつもの店舗名をもって、複数の業態を組み合わせて運営しており、「これがダメならこちら」という風にすばしこく看板を変えてくる。もしくは、コストパフォーマンスが悪いとなったら、早々に退店する。また、個人商店がなくなってチェーン店となり、上記の入れ替わりサイクルに変わってしまうケースもある。
それが悪いと言っているわけではない。企業を取り巻く環境や消費者ニーズが変化し続けるなか、その流れを正しく認識し、スピーディに適応していくことが重要であることは、ダーウィンの言葉「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるわけでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」を取り上げるまでもない。
そもそも、マーケティングとは、このような変化する環境に適応し、利益の源泉たる消費者に受け入れられ続けるための考え方や手法なわけだから。
しかし、最近の店の入れ替わりはそれにしてもあわただしい。コンビニの棚じゃあるまいし。その店が顧客にニーズにあっているか、店を本当に変えた方がいいか等本当に調べたの?と疑ってしまうケースも多い。
一方で「商いは飽きない」という言葉もある。一つの志からスタートして、小さなことをコツコツと積み重ねて、店側とお客さんとのコミュニケーションを重ね、信用や絆をつくっていく固定客が生まれる。
そこに至るには、やはりある程度の期間は我慢して続けるということが不可欠だと思うし、その姿勢が一つの経済活動の倫理観だと思う。
もちろん、顧客も移り気だから、単に同じことを続けていてもダメだ。理念やコンセプトなどにあたる「軸足」を定めた中で、さまざまな顧客ニーズの対応をしていくことは必要になる。例えば、日本橋の老舗刃物屋「木屋」だって、職人的道具を提供し続けてきている一方、最近のニーズに対応したデザイン性の高い包丁もつくっている。
企業の存続の条件は、形として変わり続けることではない。「変えるもの」と「変えないもの」をしっかりと見極め、その上で顧客に「ずっと変わらない安心感」を提供することも重要だと思う。
そうやって見てみると、老舗として名を馳せていなくても、長続きしている小さな店も結構ある。この落ち着きのない時代、単に惰性だけでは現在に至ることはできなかったであろうから、今なおあるだけでえらいと感じる。
中年の星、アーチェリーのアテネ五輪銀メダリスト山本博選手が、前人未到の世界記録、世界選手権13大会連続出場を決めた。ベストセラーよりロングセラーに目がいくこの頃。続けるって美しい。(鈴木一)

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】83号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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