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コラム

【マーケティングせつないとき】寿司は回転しても商売は回転しなくなったとき(2005.04.20)

先日、某大手チェーンの回転寿司で昼食をとる機会があった。
この店は回転当初、日本一の大型店舗としてテレビで特集が組まれたこともある。一皿105円というプライスと新鮮ネタ、そしてなんと言っても広い店内で話題を集め、開店当初、休日のランチや夕食時には1時間待ち当たり前という人気店だった。
先日もさぞ混んでいることだろうと覚悟したが、意外にも待ち時間は全くなくすぐに席を案内された。
席についてメニューを見ると、ラーメンやカレーうどんなどの種類が新メニューとしてたくさん並んでいる。寿司屋なのになんでこんなに麺が…?寿司を何皿か済ませた後で、子どもが麺を食べたいというので、席のインターホンからラーメンを注文すると、「麺は麺・惣菜コーナーでお願いします。」という。
麺・惣菜コーナーとは、座った席からえらく離れた店の反対側にある。以前はたしか客席だった一角だ。スキー場の食堂を思わせる形式のカウンターで麺を注文し、呼び出し用のアラーム受信機を受け取る。「できたら呼ぶからちょっと待ってて。」ということだが、目の前で作りかけているし、席に戻るのも面倒なのでその場で待っていた。5分ほど経ってようやく手元のベルが鳴りラーメンを受け取った。麺カウンターの前にはガラスケース内にバラバラと残り物的に惣菜が並んでおり、近くの電子レンジでセルフで温めてくれとある。
なぜスタッフが麺を運んでくれないのか?麺を待っている間、席についていればもう何皿か食べていたはずで、購買額が増えていたか、早く食べ終わっていたかのどちらかだ。文字通り回転率が勝負の回転寿司でなんと不可解なオペレーションかと首をかしげざるを得ない。
そして何よりも客の利便性を無視している。客は回転寿司に価格やそれに見合う味以外に、面倒がないことを当然のこととして求めている。セルフではあるが寿司は席にいながらにして皿をとれるからいいのであって、「麺は取りに来い」では店の都合の押し付けだ。
その上この店、開店当初から比べると明らかに味も落ちており、「回転寿司にしてもこれではちょっと」というレベルになってしまった。話題性で出足好調だったものの、メインの寿司で勝負ができずに客離れが進んだため、単価を上げたメニューを広げて客単価を上げようという思惑が見てとれる。が、うまくいっていない。
私たちはこの店から二つのことを学ぶことができる。
一つは、主軸の商品・サービスにてこ入れをしないままに、商品ラインナップを広げても、中途半端でチープな印象になるだけで、さらに魅力がなくなってしまうということ。
もう一つは、店の効率を高めようと、客の求めているものを無視して都合を押しつけても、それは到底受け入れられないということ。
この二つは、飲食店だけではなくすべての仕事に当てはまるとだろうし、実際に事業が苦しくなったときに陥りやすい典型的なパターンでもある。
たぶんもうこの店に来ることはないであろう。
満足できないランチではあったが、お土産に好材料をいただいたのでよしとしたい。(鈴木一)

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】80号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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