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コラム

【マーケティングせつないとき】サクラチルのが怖くて財布を開いてしまうとき(2005.03.16)

桜咲く春は、サクラサクの季節。同時にサクラチルの季節でもある。受験が一段落し、歓喜の声をあげる人、落ち込む人真っ二つだ。
そんなシーズン、塾や予備校では、「東大合格○名!」、「御三家○名合格!」などと新規客獲得合戦が熱を帯びている。
少子化で受験は楽になってはずではないのか?
いやそんなことはない。特に中学受験の場合、ゆとり教育で小学校がのんびりしていくのを尻目に、私立中高は勝ち残りをかけて競争が激化。そして、そんな勝ち組校への受験競争率は、全体平均値とはかけ離れて高まっている。
親から見た小学校の「勉強を教える機能」への期待度は大きく失われ、勉強は学校にまかせておけないという危機感が広がっている。

勉強だけが人生ではない。受験よりももっと大切なことがあるなどと総論では思っていても、いざわが子のことになると、いい学校に入れて将来の選択肢を広げておきたいと思うのが親心であり、そのためには高い塾の受講料も何とか払おうと奮闘する。
ゆとり教育は、そうやって親の気持ちと財布のゆとりを奪い、その結果子ども余暇のゆとりも奪っているのだ。
そんな市場を狙った塾のマーケティングにおいては、「この塾に入ると先には合格というすばらしい喜びがありますよ」とメッセージを例外なく発するわけだが、と同時に「もし今やっておかないと大変なことになりますよ。」というニュアンスにも満ちている。子どもはもともとピンとこないわけだが、親の不安や恐怖のツボをついた「脅しライク」なマーケティングと言える。
あまりポジティブな語感ではないが、このような「脅しライクマーケティング」は塾だけではなく、結構多い。
例えば化粧品も、「これを使うと美しくなる」という前向きなメッセージの裏には「これを使わないと肌が老いてしまいますよ」という脅し的メッセージが見え隠れする。また、健康食品も、健康の実現よりも不健康の回避をアピールしている場合が多い。また家電品の有料保証サービスや保険等は、もともと不安を取り除く類いの商品だ。
誤解のないように言っておくが、このような「脅しライクマーケティング」が悪いとは思っていない。よくない状況を想定し、そうならないように対策を打つというのは危機管理の面で健全かつ重要な行動だからだ。
マーケターとしては、自社の製品をアピールする場合、「脅しライクマーケティング」のメッセージを使えないかどうか一考することもプロモーション戦術の一つと言えそうだ。
しかし、必要以上に脅したり脅されたりしていては、世の中戦々恐々としてしまう。できればおだやかーにいきたいものだが。(鈴木一)

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】75号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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