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コラム

【マーケティングせつないとき】ながら族がフツーになっているのに気づいたとき(2005.03.09)

「よーく考えよう。時間は大事だよー。」と歌うまでもなく、ビジネスでも生活でも時間は重要だ。ビジネスでその時間を語るとき、最も議論されるのが「スピード」だが、ちょっと切り口を変えて考えてみたい。
ながら族。ラジオを聴きながら勉強をしたり、テレビを観たりしながら新聞を読んだりする若者を指した1958年の流行語だが、現在でも一部の辞書にも出ており死語ではない。小生も受験生のとき、「オールナイトニッポン」を聴きながら勉強していたものだった。
その後、ウォークマンの開発等がその文化を助長していった。
そして今。「族」としてくくるにはあまりにも大きすぎるほど「ながら族」は大発生している。
インターネットユーザーの多くは、テレビやラジオの視聴など、他のことをしながらインターネットを利用している「BB(ブロードバンド)ながら族」であることが明らかになっている。以前日経ネットビジネスでブロードバンド時代の消費者像を「“多重人格”で“移り気”な“BB(ブロードバンド)ながら族”」と表現していたが実に的確だ。
昨年、当社の「花いっぱい.com」(http://www.hanaippai.com/)がFMのJ-WAVEで紹介されたときのこと。ナビゲーターが、「それではサイトにアクセスできる方は環境がある方は「花いっぱい.com」をご覧になりながらどうぞ。」と言った瞬間、アクセスが集中してつながりにくくなった。いかにPCに向かいながらラジオを聴いている人が多いかがわかる。
ホリエモンが今回の一件で、「ネットとラジオの相性はいい」と言っているが同感だ。
通信料金を気にする必要がない常時接続ブロードバンドが行き渡り、ネットの「ながら利用」はますます増えていくに違いない。またネット対応テレビが普及するとテレビを観ながら買い物というのも実に自然な話になってくるであろう。まさに通信と放送の融合というやつだ。
また「ながら」はパソコンに向かうときでだけではない。スポーツクラブや自転車でiPodで音楽を聴く。電車の中で音楽聴きながら携帯メールを打つ。テレビでスポーツ中継を裏番組のスポーツを小窓に出しながらバラエティを観る。歩きながらウィダーを飲む等々。運転しながらの携帯電話は禁止されたものの「ながら風景」は減りそうにはない。
ながら族は、一遍に複数のことに意識を向けており、何か面白いことがあれば、その瞬間そちらに関心が移る。ネットでは、その注意を引こうと、例えばメールやプッシュ型広告、またユーザビリティを無視した動画広告等の「目立つ手法」があの手この手で生み出されている。しかし、一回は目だってもすぐに慣れてしまうだけで、どうも情報価値を薄めているようにしか思えない。
「一億総ながら族」の時代。味覚、聴覚、視覚、嗅覚、触覚のどこを攻めればながら族に食い込めるかを考えると、ITに限らすまだビジネスチャンスを見つけられそうだ。さらには、疲れたながら族を癒すところに、もっと大きなビジネスチャンスが潜んでいるのかもしれない。
それにしても、人間はあとどれだけ「ながら能力」を高めるのであろう。時間は誰でもが一日24時間しかないわけだが、ながら族は同時にいろんなことをするので、行動の時間を単純に足し算していくと一日30時間くらいになるのではないだろうか。これは技術の進化に対応した、人間の行動の進化だと言えるのかもしれないが、一方社会的な落ち着きのなさの現れのような気もする。(鈴木一)

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】74号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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