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コラム

【マーケティングせつないとき】自分へのご褒美という魔術にはまってしまうとき (2004.11.10)

「鍋始めました。」の本格シーズンに突入した。
東京の商業施設では、新潟の被災地の厳しさが連日報道される一方、特に自粛することもなく、既にクリスマスのディスプレイに彩られ、お歳暮、さらには高級おせちの予約すら始まっている。

イベントの時系列がごちゃ混ぜになって、「とりあえず金使えよー。」とたたみかけるメッセージが街にあふれている。「そんなもんに引っかかってたまるか。」と頑張ってはみるものの、人間とは意思の弱い生き物だ。

お金を使う時、自分の買い物を正当化するための「言い訳け」はいくらでも思いつく。

今日は運動して汗を流したからと、ビールをカブ飲みする。
別腹だからと甘いものを食べ、ダイエットのスタートを延期する。
たまには社会勉強しないとといっては、キャバクラに行く。
血液ドロドロとわかっていても「体を冷やすと健康に悪い。」「日本酒は悪いけど焼酎はいい。」「鍋は野菜が豊富でバランスがいい。」「ヘルシア緑茶を続けているから大丈夫。」などと、健康の論理を都合よく組み合わせては、焼酎のお湯割りをしこたま飲んで二日酔いになっている。とりわけ飲むことを正当化するのん兵衛の言い訳は天下一品だ。

私も他人のことは言えない。キャンプにおけるツールナイフなんかは典型だ。これ一つで災害のときなどにサバイバルできるなどと言って買うのだが、実際には、所有して満足するだけで、キャンプの現場ではカッターナイフや包丁の方が圧倒的に便利だ。そして用もないのにビジネスバッグに入れておき、空港のボディチェックで捕まったりする。
「男の道具」、「一生モノカタログ」類の雑誌が、言い訳けの好材料を見事に提供してくれる。

だいだいこの飽食の時代、つきつめて考えると、必要不可欠なものはほとんど間に合っていて、言い訳けでもつけないと買うものなんてあまりないはずだ。
男の消費は理性型、女の消費は感情型などといわれるが、言い訳けつくり方が異なるだけで、根本はあまり違わないと思う。

そんな「言い訳けして買っちゃう自分」に、元気を与えてくれる魔法の言葉がある。
「自分へのごほうび」。
財布を開かせる呪文として、実にうまく練られたキラーコピーだ。
何か目標を達成した際に褒め称えて与える、そんな美しいことを意味する「ご褒美」という言葉が、後ろめたさを消してくれる。

ご褒美の相手は通常は他人だが、その相手が自分というわけだ。ご褒美を与える基準は人によって違うが、何と言っても一番可愛いのは自分だから、往々にしてそれは甘くなる。
達成した目標の大小以前に、何も達成していないのに、「今日一日頑張ったごほうび」などと能天気な消費も続出する。

これからビッグな年末商戦。クリスマスのイルミネーションや「鍋やってます」のメッセージは、「自分へのごほうび」の引き金を後押ししてくれる。
最近では、クリスマスにも「自分へのご褒美」などとコピーをつけて消費意欲をあおっている。

寒くなるとおしゃれしたいからまた服が欲しい。寒いと帰宅前に少し暖まりたいから一杯寄りたい…。「好きなものは好き。」「欲しいものは欲しい。」何だかんだと理屈をこねても結局は財布を開く。
消費活動において、理性より感情が打ち勝ちやすいこの時期。マーケティングサイドとしては、この「ご褒美消費」にフィットする戦略を実行したい。

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】58号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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