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今年も悩める季節がやってきた。文具店、書店で開催される手帳・カレンダーフェア。この時期になると、今年も終わりに近づいていることを実感し、時の流れの早さを思い知らされる。
このデジタル時代においては、モバイルPC、PDA、携帯電話でもスケジュール管理等手帳の各機能は代替できるが、やはり「これだけは紙」という結論にたどり着く人が多いのか、手帳の種類は次々と増えているような気がする。
私自身、手帳ほど「購買決定までの単価あたりのエネルギー」が大きい買い物はないかもしれない。
「モノを買うのではない。そこから得られるベネフィットを買うのだ。」というのは聞き飽きたマーケティングの常識だ。それにしても、手帳の場合は少し深い。スケジュールが管理できる、メモできる、住所録を管理できるという直接的ベネフィットはもちろんだが、それ以外に、仕事が捗る、素敵な時間を過ごせる、きっと飛躍できる、成功をつかめるなどというような「期待ベネフィット」つまり希望的観測のようものが、最もこめられて購入されるものが手帳だと思う。
書店には「手帳で成功する」「手帳で人生が変わる」等とという本も多く並んでいるし、フランクリンプランナー等は、そのハウツーというソフトとセットになった手帳である。
私は、これらの成功本を真に受けているわけではないのだが、少々大袈裟に言えば、手帳というのは「未来をつくるパートナー」だと思っている。
だから、もらいものの手帳で間に合わせいるような人の気が知れない。
手帳の特徴を購買・販売という面から見ると
・必ず中身を確かめて買う
・そして自分が一年間毎日使うものを自分で買う
・基本的には一人ひとつしか買わない
・老若男女を問わず、かなり幅広い層が必ず買う
・競合が一同に同じスペースに並ぶ
・旬の時期が実に短い
などが挙げられるが、このような消費財は他にないと思う。
システム手帳か使い切り式かにはじまり、サイズ、表紙のデザイン、一覧のスパン(マンスリー、ウィークリー、デイリー)、データの有無・種類、メモ欄の大きさ、国産か輸入品か等々、これらの選択は、購入者のライフスタイルと好みが直接的に反映される。その点から手帳は雑誌以上にセグメンテーションがはっきり分かれると言っても過言ではない。
各社は、さまざまな切り口で本当に細かい差別ポイントをつけて、ターゲット層に自社製品を選んでもらおうとしのぎを削っている。
マーケティング面においては、単純な構成要素の製品を、どう差別化し、その「違い」をどう魅力的にメッセージ化するのか、これを学ぶには手帳は格好の材料だ。
そういう意味では、「ほぼ日刊イトイ新聞」プロデュースの「ほぼ日手帳」は、その辺を教えてくれる。手帳の説明は省くが、製品自体よく考えられていることもさることながら、各要素ごとに、その特徴を説明するコピーラインティングは、よくもここまで手帳を語れるものだと脱帽する。大いにお手本とすべきところありだ。基本的にはネット販売だが、ロフトなどでもいい場所をとって人気なので、是非一度御覧あれ。
売場のすべての手帳を見比べることはできないし、そのつもりもない。「魅惑のメッセージ」を発する手帳を物色して、今年も楽しく悩んでみようと思う。
迷った結果、また今と同じ手帳にたどり着くことが今回も予想されるのだが。
*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】55号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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