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コラム

【マーケティングせつないとき】コミュニケーションのキャパが慢性オーバーのとき (2004.09.22)

日帰り出張で1日メールチェックしなかっただけで、500通以上のメールが届いていた。
それはすごいと感心されることもあるが全くそんなことはない。その中で実際に意味のあるメールはほんの一部だ。

本当にうんざりするが、大事なメールも含まれているわけだから、その作業をやらないわけにはいかない。

このうんざり感は、コミュニケーションのキャパシティ(容量)を無視することから生まれるものだ。

郵送のDMであれば、印刷をする、切手を貼る、電話であれば、かけて対話をするという行為に(自らやらないとしても)何らかの費用や手間が、件数の倍数として発生するので、そのことが、非常識に発信が増えることのおさえとなっている。しかしメールの場合は、1通出しても1,000通出しても発し手の手間は一緒なので、発信のキャパシティは無限とも言える。
しかし一方、CPUの処理速度とハードディスクの容量が劇的にアップしても、結局最後の受け手である、人間のコミュニケーションのキャパシティには限界がある。

メールを読むのには、それなりのパワーが必要だから、キャパを超えると物理的に読めない。それを何とか読んでもらおうと、タイトルを目立たせたり、HTMLメールを使ったりするが、もともとキャパからあふれているのだからほとんど効果がない。
受け手のキャパからあふれた情報は、大事なものであっても見落とされやすくなってしまう。

また、メールの場合、量的なものだけではなく質的なコミュニケーションギャップも起こりやすい。
直接会って話すと実に丁寧な人が、メールでは非常にぶっきらぼうだったり、貴重面な人のはずなのに、メールを送ってもあまり返信が来なかったりする。
よくよく聞いてみると、単にキーボードが苦手だったり、返事をしないのは「了解」の意思表示のつもりだったりする。
メールには表情がないので、この辺の認識に食い違いがあると、他意がないにも関わらず変に誤解が生まれ、リアルな関係性まで悪くなってしまうようなことにもなりかねない。

これも、相手を理解するという能力を超えてしまっているという点で、やはりコミュニケーションキャパシティの問題と言えるのかもしれない。

コミュニケーションは、それが一方向なのか双方向なのか、また同期なのか非同期なのかの二つの軸をもったマトリクスで整理することができる。
ここで「同期」というのはメッセージや情報を発したと同時に受け手に届いているというもので、非同期とは発信と受信にタイムラグがある場合だ。
例えば、テレビやラジオは一方向で同期、新聞や雑誌は一方向で非同期、知人への留守番電話や手紙は双方向で非同期、直接会っての会話や電話は双方向で同期ということになる。

メールの普及は、このうち「非同期コミュニケーション」を一気に主役にのしあげた。
そして、本来メールは電話の延長と考えると双方向のはずだが、実際には営業メール、メールマガジン等送りっぱなしの一方向のものが多い。

マーケティングコミュニケーションにはメールは便利であり不可欠であることは間違いない。
しかし、「人間としてのコミュニケーションのキャパシティは有限」という観点から、今一度マーケティングコミュニケーションの手法を見直したい。
量的にも質的にも、いかに相手のコミュニケーションキャパシティ内に、すぅーっと入っていけるか、そのヒントは、きっとお互いのキャパ内でやりとりとしていたアナログなコミュニケーションにあるのだろう。

*この記事は、週刊で発行するメルマガ【マーケとマネー〜せつないとき】51号に掲載したものです。ご興味のある方はこちらからご購読ください。
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